平野勝之「由美香」

今日は妻が会社の忘年会なので、夜、一人で息子の面倒。飯喰わせて遊んで寝かせて、平野勝之「由美香」観る。元々はAVだったが劇場公開版として再編集されたらしい。平野監督とAV女優林由美香が不倫旅行、といっても自転車で日本の最北端を目指すというドキュメンタリー。平野監督は奥さんもいるが、林由美香が好きで一応不倫旅行。

今となっては手持ちビデオによるドキュメンタリー映画は珍しくもなんともないし、リアリティTVのようですらある。感覚がそれに慣れ切っている2004年の私は1996年のこの作品を、これは映画だ、という醒めた意識で観ていた。二人の感情の、感傷のもつれより、風景が印象的だった。綺麗な映像ではもちろん無いけれど、ビデオならではの階調が荒い美しさと視界の狭さがいい。

流れ星に願いをかけるシーンがあって、監督は「由美香ウンコ喰う、由美香ウンコ喰う、由美香ウンコ喰う」(最北端でウンコを喰ってもらわないと企画自体がポシャる恐れがあるのだ)、由美香は「一生スタイルを保ちたい」と願うのだけど肝心の流れ星が全く映って無い。真っ暗な画面に二人の声だけ。当然観せるべきのものが全く映らなかった事で、結果的に映るはずが無い二人の人間が映った。名場面だ。思い出すと泣ける、ほどではないが、どうも私はこの手の雑な表現が思いもかけない最大限の効果を発揮するのに弱いようだ。華倫変の殴り書きのアヒルがバナナをゲーゲー戻す絵とか。

子供が2時頃おき出す。寝つかない。妻が4時頃帰ってきたので、5時頃就寝。