島尾敏雄「魚雷艇学生」

午前1時半就寝、6時半起床。雨なので息子をスリングに入れて早歩き15分ぐらいの保育園まで送る。ちょっとした運動。

5。20時半帰宅。帰宅時突然マイナス1。もう下り坂に入ったのかとしょんぼり。

島尾敏雄魚雷艇学生」読了。昔読んだ時よりずっと面白く読めた。60過ぎになった作者が26、7の頃の特攻隊体験を回想して書いてるのだが、事実関係、肝心な所を「よく憶えていない」「忘れた」としてるのがおかしい。それでいて、酒席の成りゆきで図らずも上の階級の軍人に修正を加える(殴る)はめになったり、眠た過ぎて当直中に部屋で寝ていて上官に呆れられバツの悪い思いをしたり、暇なので車を無免許で乗り回していて民家にぶち当たりそうになって肝をひやしたり、後味の悪いやりきれない事ばかりを良く憶えていて精密にその時の心理を描写している。

軍隊組織の中、戦争の最中、その当事者であるにも関わらずいっこうに実感が沸かない。あるのは得体のしれない怯えや投げやりさと、自身の心の動きを離人症の如く見ている自分。

生きている事も、ものを書く事も、辻褄の合わぬ事ばかりだ。齟齬がある。埋めようもない。島尾敏雄に、呈のいい辻褄合わせは無い。執拗に自分の意識を追い、言葉にする。