オイルと銀

浜松駅に降りるといつも空気がいいと思うのだが、タバコ臭いと連れに言われた。

浜松のロックバー・LUCREZIAでライブをやった。銀色に塗られたライブハウスにはルクレツィア人形がいた。色の付いたオイルが回転する光の中で、演奏する。父親が観に来てた。「CDより激しいので心配した」と言われる。私の息子は家で寝ている。三代で同じ音の中に入りたかった。

酒を沢山飲んで、ロイヤルホストで夜中京都のSと遅い晩飯を食べる。苛立っていた。飛び込まなければと、

この鈍い頭は割る事が出来ないのだろう。続ける事が今の私には難しい。

飛び込まなければと、切り立った場所で、鈍い頭の内側で、立ち上がり、


タバコがどこへいったのか。曲がったタバコでもいい。

あと二、三本、灰の中に回して、そっと淵を覗き込んでいる。


ここは誰にも頼る事が出来ないひとり一人が赤い視界に遮られた垂直の事故現場。